飛田基様より
1. どのような事例に適用しましたか?
「どんなカリキュラムにも使える考え方」そのものをベタに再現してみようと試みました。5歳と3歳半の子供に「はなさかじいさん」の童話を読み聞かせ、それをもとにブランチを作ってみました。
【はなさかじいさんより】
むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
しろという犬を飼っていて、とてもかわいがっていました。
ある日、しろが畑で吠えました。 「ここほれ、ワンワン。ここほれ、ワンワン」
おじいさんがそこを掘ってみると、お金や宝物がたくさん出てきました。
それを見ていたとなりのよくばりじいさんは、
しろを無理やりひっぱって連れて行ってしまいました。
「おいしろ、お金やたからものはどこだ?」
しろは、仕方なく吠えました。
「ここほれ、ワンワン。」
すると、むしや、われたちゃわんや、かわらがたくさん出てきました。
よくばり爺さんはかんかん!
しろをころしてしまいました。
話を読んだあとにこんな質問をしました。
A) おじいさんは、何をやったの?
B) そうしたら、何がでてきたの?
C) となりのおじいさんは、何をやったら、何がでてきたの?
D) どうして、同じことをしたのに違うものがでてきたの?
この答えにもとづいて、ブランチの枠だけをつくり、中身を書かせてみました。
3.やった結果はどうでしたか
ブランチの構造をあたえれば、中身を埋めることができました。また、絵と字を併用しながらツールを使うことができました。
4.やったことで分かったことは何ですか?
3歳半と5歳では、日本語の表現力がどのくらい違うのか知ることができました。2歳半では、単語を列挙するレベルですが、5歳では文を作ることができます。となりのおじいさんが「ほじくった」ら、虫やわれたちゃわんやかわらがでてきたのですが、その部分は長すぎて字を書きたくなかったようで、その部分だけ絵になりました。えんぴつで、ぐちゃくちゃっとやっただけですが、うれしくないものがでてきた印象は感じとることができます。
また、同じ行動をとったのに、違う結果が起こった理由が、「悪いおじいさん」、「悪くないおじいさん」の対比の中で捉えることができることもわかりました。悪いおじいさんと、悪くないおじいさんを形作っている行動は2人とも読み取ることができませんでした。
「どうしてこっちのおじいさんは悪いの?」と聞くと、 3歳半の子は答えられませんでした。 5歳の子は「しろを殺したから」と答えました。これは、もちろん、質問に対する1つの正しい答えです。でも、ブランチの順でいうと、「悪かった」→「毛虫が出てきた」→「怒った」→「殺した」の順ですから、殺したことは悪かったことを後付けで強化はしますが、毛虫が出てきた裏付けしての悪さを説明するものではありません。自分自身が、毛虫が出てきた裏付けしての悪さは何だと思うかを聞き出すための、質問のスキルを持っていないことに気が付きました。「おじいさんはしろをかわいがっていた」、「よくばりじいさんはむりやりしろをつれていってしまった」の部分と人の善悪を結び付けられるのは何歳なのか、気になるところです。
5.次にやることは何ですか?
「はなさかじいさん」には、このあと「うす」の話と「桜の花」の話がつづきます。同じ構造のブランチが、今度はガイドなしで書けるのか試してみたいです。
もし、「しろ」、「うす」、「桜の花」で同じようなブランチが書けるのであれば、3クラウド法ならぬ3ブランチ法で一般化されたブランチを作って、そこから、この昔話に潜む教訓を引き出すことができるかもしれません。そして、これをさらに発展させて、個人のブランチを作ることができるかもしれません。(ただ、5歳ではここまでは無理だろうなぁ。)
6.それをやることのメリットは何ですか?
このような遊びを通じて国語力、読解力が身に付き、子供が小学校に上がったときに勉強についていける可能性が高まることです。