日時:2012/5/15 19:00~21:00
参加者:32名
GoldrattConsulting 澤井奈美氏より解説と実習がありました。
「学ぶことの最大の障害は答えを教えることではないか?」この問いから始まったTOCfE。
まずは前回の「ごちゃごちゃすっきりブランチ」のおさらい。
「うさぎとキリギリス」の事例を使い、失敗にいたる経路と間違えたポイントの改善を引き出します。
今回はその失敗の裏にある背景=対立の状況をみんなにわかりやすく示すことのできるツールが「もやもや、解決クラウド!」
クラウドは、「相手の立場に立って物事を考える=相手の要望を理解する。」ということが大事。
クラウドを使って、キリギリスとアリでは夏場の行動の対立を、うさぎは心の内面の葛藤を明らかにされ、それぞれの相反する行動に共通する目標を考え、その目標と行動をつなぐ要望を書き出していきます。
キリギリスは「ずっと楽しく暮らすためには、毎日楽しく過ごすので、働かない」と考え、アリは「ずっと楽しく暮らすためには、冬に備えて、働く必要がある」と考えていた。
ここで主人公は始めて相手の要望を理解し、相手の立場になって考えることができ、うさぎの内面の葛藤(ここで一休みするかしないか)も自分の置かれた状況を理解して、気持ちを整理していけました。
我々が行動の対立に出会うと、「先送り、あきらめ、強要、どっちつかず、妥協」を行ってしまいがちです。
通常、人はジレンマがあった際は、その対応として下記の方法を選んでしまう。
・回避
・あきらめ
・強要
・どっちつかず
・妥協
※臭いものに蓋をするイメージ
クラウドは、その対立に逃げずに立ち向かう。むしろ対立を解決のための糸口として利用する。
まず、キリギリスとアリの例で「毎日楽しく過ごしながら冬に備える」要望は両立できるのに、「働かないと働く」行動で対立してしまうのは、それぞれをつなぐ前提に思い込みがあるからです。
「行動」では対立していても本当に「要望」が対立しているのか?を考える。
これは、あくまでも「行動」は「要望」を行う手段にしか過ぎないので、「行動」が対立していても「要望」が対立していることはない。「要望」を両方満たす妙案はあり、思い込みを外せば対立しない行動を導き出せます。(楽器を奏でて収入を得るとか)
クラウドの作成では、クラウドは複数人でかつその問題に関わる多種多様な分野の人達で考えると、見方及び考え方が固まらないので、経験上良質なものになります。
更に取引先とのクラウドを作成する際には、親しい取引先に協力してもらい、一緒に考えるというのも良い手である。
新たな参加者がいたとしても、問題の構造を分かってもらえば、そのチームだけでは気づけなかった思い込みの発見や、幅広く適切なアドバイスを引き出せます。
また。作成中に質問者は、回答者の集中を削がないためにも質問を愚直に繰り返すことが良い。
加えて、作成中で立ち止まらないためには、「とりあえず思いついた言葉を入れて確認する」を繰り返すことがコツである。
双方の「行動」から導き出される共通目標のレベルが高ければ高いほど、「要望」の幅が広くなるので、問題解決の成功率は高まっていく。
その後、4歳児の金魚事例、エフラットのクラウドの紹介、参加者での実習を行う。
浦島太郎の「亀のジレンマ」に対する大人の解決方法を解説!!
クラウドを作る手順としては、UDEから5つの質問で作り、8つの質問で検証して行きます。
まずは望ましくない事象(UDE:ウーディと読む)を一つ書き出し、対立行動、共通目標、要望を書き出します。
この時、共通目標を少し高いレベルにすると要望の幅が広がっていきます。
ほどほどの加減が必要なようです。しっくりくるまで何度も繰り返しです。
この時に重要なのは理由を考えないことです。理由を考えると思考が停止してしまう。
まとめとして、クラウドは二人以上で質問を愚直に愚直に繰り返すこと、支援の輪広げるためにもちょっとだけ背伸びした目標でクラウドを分かりやすく描くことがよい。
質問コーナー
質問:5つの質問で作り、8つの質問で検証をするまで時間がない。
クラウド作成後の問題解決については、時間がある場合は、相自時妙の順で考えていくと
最後の妙案にはそれまでに出た解決法を網羅したものになるので、よりベストな解決法が見つかりやすくなる。
時間がない場合はいきなり妙案を考えても良い。
質問:ブランチとクラウドの使いどころは?
前回のブランチは因果関係を明らかにするツールであるので、クラウドにおいては、「行動」と「要望」、「要望」と「共通目標」の間にある思い込みを打破するためなどに使用される。
レポータからの感想:
人数が増えれば知恵が掛け算されて、質の高いクラウドになっていく気がしました。
「みんなにわかりやすく示すことのできるツール」のみんなとは、自分の中のもう一人の自分や相手だけでなく、周りの人も含むことに気づかされました。
確かに実習で質問して貰うと思考がドライブして気持ちが良かった。
正直、一人だと脳内で循環、混雑が起きて思考から逃避します。
それを防いで議論を進めるためには、愚直に質問を繰り返すことが、どうしても必要なのだと思います。
およそ20分で、自分の抱えている問題が浮かび上がり、理解して頂いて本当に嬉しかった。
第8回TOCfE関西レポータ:金田祐介、渡辺勝也
文章整理:世話人 東秀和