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教育のためのTOC 本部および世界各国の活動

earth教育のためのTOCは、世界20か国以上の国々で活用され、今現在も世界中に広がり続けています。子供から大人まで、国籍・人種問わず幅広く使用されているこのツールは、世界中で自ら考え、選択し、行動できる人々を増やし、成果を上げています。このページでは世界各国から集められた実際の活用事例をご紹介します。

本部について
TOCfEはキャシー・スエルケン氏を会長とする国際的な組織です。本部はアメリカのフロリダで、定期的に世界でTOCfEのリーダー達が成果や知見を共有し知識体系を発展させるカンファレンスも行われています。
本部URL:http://www.tocforeducation.com/

Israel
イスラエル:ロニーのシンキングゲーム

UK
イギリス:オックスフォードの生徒がツールを使ってチューターをするStudent4Student

Mexico
メキシコ:TOCfEをベースとしたインターナショナルスクール開校

Nederland
オランダ:就学率の低いジプシーの家庭への問題にツールを活用

USA
アメリカ:数学の授業にTOCfEを適用。専用のオンラインコースも解説

Polska
ポーランド:チェスト・オブ・シークレット(以下概要)

ポーランド「Chest of Secret」(Maciej Winiarek)の事例紹介

ポーランドでは、TOCfEのツールをカードやマットを使い可視化して、先生への指導方法のトレーニングも含めたパッケージとして開発されたChest of Secretと呼ばれるものが学校を中心に使われています。以下は2014年に行われたTOCfE国際バーチャルカンファレンスでの発表要約です。

発表では冒頭に子供たちが日常的に抱える問題が数点列挙されており、続けて改善点が示されています。(以下要約)

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子供は、話を聞いても、最も重要な事実がなんだったかを記憶することがなかなかできないことがあります。短い話を聞くときほど、それは顕著になります。子供たちは先生に話の一貫性を確認するために質問をする必要があります。

Chest of secretでは、4種類のストーリーが用意されており、それらを使って学習をします。それらは1つ1つのシーンがカードで表されており、子供たちは話を聞いている間、話の筋を表す絵を見ています。そして彼らは絵を論理的な順番に並び替えることで大きな枠組みで考えられるようになります。ロジックブランチを使えば、このように簡単な図形を用いるだけで、一つのものとして考えられるようになります。

ロジックブランチを使用してから2か月後(6回)、子供たちは1回文章を読んだだけで、長い文章を再構築できる力を身につけました。2、3か月後でも間違いなく話を再構築できるようになりました。

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次に、子供に物語について何か尋ねたとき、子供たちはうまく物語を説明することができないことがほとんどです。子供たちは、覚えていることを全て話そうとしてしまいます。

そこで、Chest of Secretのロジックブランチのカードを使っています。子供たちは因果関係が示されているロジックブランチのカードを受け取ります。そこには「もし、~ならば」が一段階しか書かれていません。生徒は次のボックスの絵を書いたり、口頭で説明しながら完成させます。そうして他の部分も埋めていき、物語を完成させるのです。こうすることで、ばらばらの絵や写真の中に因果関係を築いていくことができます。次に何が起こるかを考えることが出来るのです。

ここで一つ言いたいことがあります。物事の因果関係を論理的に話すことは大変困難ですが、因果関係が可視化されているとそれは容易になります。生徒(例え障がいがあっても)は難しい表現をしなくて良いし、長い文を作る必要もありません。ロジックブランチは、子供たちに適切な場所に物を配置することを可能にし、一貫した物事の中で、前に何が起こって、次になにが起こるのかを説明できるようになる手助けをします。論理的に思考し、話すことを可能にするのです。

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また、生徒は時に物事の深い理解をしないままその良し悪しを判断せずに受け入れてしまうことがあります。

大人でさえ物事の何が良くて何が悪いかということを判断しかねる場合もあるくらいですから、子供たちにはなおさらのことでしょう。子供たちにとっては、物事の善悪というものは抽象的なものであるからです。
ここでこのアイコン(喜怒哀楽が描かれている)を使います。子供たちにもし誰かの物を盗った時にはどういう気持ち?と聞くと、左(盗った時のような)のようなアイコンを選びました。真ん中はそれを隠した時の気持ちを表すアイコンで、右は誰かに自分のものを盗られた時のアイコンです。子供たちは、まだ自分が感じる感情がどんな名前なのかということを知らないので、アイコンを使うことによって子供たちの表現がより容易になります。そしてこのツールを使って数週間後に先生はそれがなんという名前の感情かを教えるのです。そのことによって、子供たちは名前を覚えることができ、それを使って感情とはどういうものか議論できるようになります。生徒はキャラクターの感情を分類することができる、かつ、その感情の名前を知っています。
この抽象的なアイコンを使うコンセプトは、物語をより簡単に説明し、把握できるようにするためのものです。

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次に、小さい子供たちは何事も大人からの答えを待っていることがあります。

この問題に対してはアンビシャスターゲットツリーを使います。
このツールを使うと例えばクリスマスパーティーなどを計画し、実行するためになにをすれば良いのか、どうやってやればいいのかがわかるようになります。さらに計画すべてのことに責任を持てるようになります。Chest of Secretでアンビシャスターゲットを使った結果、数週間後、彼らはとても独創的に様々な解決策を自ら見つけられるようになりました。
一番重要なことは、子供たちがこれを大人の手に頼らずやったことです。どのように実行すればいいかを知っているので、自らやりたがりました。

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次の問題は、子供たちはすぐ泣いてしまうということです。 子供たちは障害を見越して把握する術を学ぶ必要があります。

ここで一つ注意があります。小さい子供たちは「障害」という概念を知りません。障害とは何か説明するために身体を使って説明することにしました。そこで私たちは、ある目的地を定め、その道の途中に椅子を置きました。そこで小さな驚きがあったのですが、子供たちは椅子を障害物だとは思わなかったのです。なぜなら障害という概念を知らないからです。
何か達成したい事があるときにはいつも障害がついてまわります。その障害を把握していれば、よりよい準備が出来るというものです。アンビシャスターゲットツリーを使えば子供たちは、障害(これまで実生活で彼らが気づけなかった)を見つけることが出来ます。

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Chest of Secretを使ったプログラムは以下の物で構成されています。このパッケージにはシナリオ・道具・マット・ゲームが入っています。シナリオがプログラムのキーとなっており、30個の例題が入っています。全てのシナリオの構成は同じになっていて、その構成は、このレッスンの目的、ねらい、・明確な手順、・どの道具を使えばよいか、・家でやる際のヒントです。このプログラムは子どもたちの日常生活に関連する5つのオリジナルストーリーに基づいて作られています。彼らの生活に基づいて作られているため、子供たちは熱心に参加することができます。
私たちはブランチとクラウドの型がプリントされているマットを作りました。このマットがあるおかげで、子供たちはストーリーに集中できるし、飽きずに長い話を聞いたり、読んだりすることができます。

私たちの目的は子供たちにTOCのツールを教えることではありませんでした。私たちの目的とは、プログラムの一年後に彼らがそのツールを彼らの生活の中で活用することでした。
(以上、Chest of Secretのキットの概要)

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翻訳者概観:
ポーランドのChest of SecretはTOCfEのツールをパッケージ化した(先生へのトレーニングを含め)ところがユニークなところです。fEのツールをマットなどの実際の物を作り可視化したことで、頭だけではなく身体も動かしながら考える力を身につけることができます。また、長年の先生と子供たちのセッションから詳細なフィードバックを得ており、学習者の学びが最大限になるよう設計されています。こうしたキットがあるためにツールを使う際の導入が容易になり、キットさえあればどこでもツールが使えるようになっています。とても汎用性が高く、ポーランドの学校ではカリキュラムの1つとしても導入され、学校のテストの成績はもちろん、子供たちの生活の充実にもつながっているとの報告です。

このようなChest of Secretのキットを使った取り組みは、日本でも保育士さんなどを中心に試験的に始まっています。

土井 柾輝

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